日  時 2010.12.18(土) 13:30〜16:00
場  所 商船三井ビル5F スカンジナビアンリビング
参加人数 21名
テ ー マ 『年末、今年最後のセンスアップを目指して…』
講  師 小林一英氏
スカンジナビアンリビング 関西支店 代表



商船三井ビル
スカンジナビアンリビングにて
小林 一英氏
ソープ仕上げフローリングの手入れ
  今回は、古来から海外貿易が盛んでお洒落な街=神戸に相応しい専門家向け北欧家具のショールーム「スカンジナビアンリビング」を訪ねました。
  講師をお願いした小林一英さんは、幼少の年代から25年間をデンマークで過ごされ、帰国後は北欧家具の販売を主に、北欧の環境に優しいエコ住宅の推進をライフワークにされています。日本の家の印象はお祖母ちゃんの縁側のある民家で、帰国されてから急激に変化した日本の住居に大変驚き、またショックを受けたそうです。
  会場ではケネディとニクソンのテレビ討論でケネディが座ったことで有名な「ザ・チェア」など、世界中で愛されている椅子が数多く展示されていて、小林さんから「お好きな椅子にお座りください」と指示され、参加者は恐る恐る座り心地を確かめながら席につきました。
  お話はデンマークにおけるエコについてで、現在、デンマークでは国家を上げて環境問題に取り組んでいるそうです。ために、同国では1985年に既に原子力発電を永久に放棄し、2030年までに国内使用の電力の45%を再生可能エネルギーで賄う目標を立てました。また、現在風力発電のシェアは13〜14%程度を占めており、その風力発電所の所有者の内、大半が個人又は共同所有であり環境に率先した政策によって、自分の家の風車で作られた電気を電力会社に販売できるシステムが構築されているそうです。
  小林一英さんが説明されたデンマークのエコとは…
*エネルギーの使用量を最小限にまで抑える。
*再生可能なエネルギーからエネルギーを再生する。
*建材・器具は再生可能な素材を基本資材とし、エネルギーを使わずに生産する。
*50-100年先を考えてタイムレスなデザインとする。
*長持ちする素材を使う。
*DIYで手入れ・手直し可能な素材・器具を選定する。
*自然に害が無く、環境に悪い影響を与えない素材を使う。
などを中心にエコ活動が展開されているようです。
  デンマークではエコ意識が日常生活にまで深く浸透し、子どもたちの教育も徹底しており、現在と未来へのエコ活動の確実性と継続性が予見されました。
  最後に、ソープ仕上フローリングの手入れについて実演を交えお話しいただきました。フローリングが見事に暖かなミルク色に蘇りましたが、「ソープ仕上」はさしづめ日本の「米ぬか仕上」と言った処でしょうか。
  小林さんのお話を伺い、日本人が忘れかけていた暮らしを思い起こされた一日でした。
文/新井律子


「スカンジナビアンリビング」の小林さんのお話の中で最も印象に残っているのは、1970〜80年代にかけて、デンマークの建築家やデザイナーの方々が数多く日本を訪れたというエピソードでした。そして、そこで学んだ古くからの生活の知恵(例えばデンマークの家具や床の「ソープ仕上げ」は日本の古い家の床を糠で磨いて手入れしていたことがヒントであったり、家具を含む様々な生活雑貨等を修繕して長く愛用したり)やデザインが、現在のスカンジナビア建築に影響を与えている部分があるということでした。それは100年前の話ではなく、ほんの数十年前、私が生まれた頃の話であるということにショックを受けました。
また、デンマークに於いてはここ数十年、様々な政策(例えば都市に自転車専用通路を拡張したり、既存の建造物に外断熱材を取り付ける等のメンテナンスを施すリフォームをしたり、水車エネルギーをビジネスとして成功させたり)により、省エネルギー効果が表れているというレポートにも感心しました。
同じ時期、一方日本では、戦後高度成長期と呼ばれる時代から引続き、便利さや手軽さを追求する時代を真っ直ぐに歩んできました。日本人の長所でもある勤勉さや器用さにより、確かに、物質的には豊かになりましたが、失ってしまったものもたくさんありました。歴史的価値のある建造物や、伝統産業、人や物・自然を大事にする気持ちやそれらを尊敬する、あるいは感謝する気持ちなどがそうだと思います。
今回のセミナーを通じて私が感じたことは、私たち日本人が本来持っていた、これらのものを振り返って見直すことの大切さ。そして、それは決して保守的になるということではないのだということです。
『日々を丁寧に暮らすこと。』私たちの世代こそが実行し、次の世代に伝えていかなければならない重要なことであると強く感じました。
スカンジナビアン・インテリアに囲まれた温かい空間で、とても有意義な時間を持つことが出来ました。小林さん、暮らし方研究会の皆さん、ありがとうございました。
西宮市在住 山本華子 38歳



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