日   時 2014.6.7(土) 10:30〜13:00
場   所 三休橋筋
参 加 人 数 21名
テ ー マ 『船場のレッドカーペット・三休橋筋を街歩き』
森山 秀二氏 一級建築士 三休橋筋愛好会メンバー



大阪市中央公会堂前から出発
愛珠幼稚園
浪速教会
芝川ビル
船場ビルディング
綿業会館
綿業会館・地下グリル
記念撮影
  今回は、船場のレッドカーペットとも称される三休橋筋を中心に散策しました。天気予報では晴れでした何故かあいにくの雨。傘を差しながら、案内人の説明に耳を傾けつつ、大阪市中央公会堂からの出発です。
  大阪市中央公会堂(大正7年竣工)は株式仲買人、岩本栄之助氏の寄付により建設されました。相場で、莫大な損失をだして周囲の人々は大阪市に寄付した100万円を少しでも返してもらうように進めますが、「一度寄付したものを返せというのは大阪商人の恥」としてこれを拒否したそうです。公会堂建設のために莫大な私財を投じながら、完成を待つことなくこの世を去りました。大阪商人の「義」の精神、後世に伝えていかねばなりませんね…。
  公会堂から三休橋筋に入り、土佐堀川を南に渡る栴檀の木橋を渡ります。橋の袂には景観として植えられ、昨年9月の台風で倒れた栴檀の木跡と、新たに植えられた二代目の木を見学しました。
  続いて、三休橋筋を南に進み、「昭和5年開業で財界や文楽・歌舞伎関係のお客が多かったレトロな吉田理容所を見学」、との予定でしたが直前に予約がはいり残念ながら見学は中止となりました。
  少し西に歩き、大阪大学医学部の前身とされる適塾は、蘭学者・医者である尾形洪庵が蘭学の私塾として江戸時代に開設しました。次に道路前の市立愛珠幼稚園は明治13年に開園され、現存する幼稚園として国内で2番目に古く、民間の幼稚園としては国内最古となります。「大阪市内には重要文化財が15ヶ所もありますが、適塾・愛珠幼稚園・綿業会館を含めこのあたりに4ヶ所も集まっています。」と森山さんの説明を伺い、改めて船場を見直した次第です。
  再び三休橋筋に戻ります。三休橋筋は栴檀の木が立ち並び、ガス灯の整備・電柱の地下化・歩道銘板の設置など、大変きれいに整備されています。
  マンションに生まれ変わった大理石造りの旧八木通商ビルと煉瓦造りの旧大中証券ビル(明治45年竣工)は、双方共に東京駅や奈良ホテルを設計した、辰野金吾氏の設計になります。
  次の、日本基督教団浪花教会(1877年設立)では、牧師さんのお話を伺える事になり、中に入れていただきました。現在の建物は、1930年に近江兄弟社の創立者で、アメリカ人建築家のウィリアム・メレル・ヴォーリス氏が指導し、竹中工務店が設計・施工したものです。ステンドグラスを通して柔らかな光があふれる、素敵な礼拝堂でした。
  芝川ビル(昭和2年竣工)に立ち寄ります。このビルを受け継ぎ守ってきたオーナーは、創建当初の建物に戻す改修工事や、魅力的な店舗のテナント誘致により、建物の魅力の向上・発信に力を注がれています。
  続いての船場ビルディング(大正14年竣工)。このビルの最大の特徴はパティオ(中庭)があることで、玄関から中に入ると皆さんワァァァァァァ!という歓声を上げられました。建物中央に細長い庭があり、その中庭に沿って外廊下が設けられています。
  最後は、綿業会館(昭和6年竣工)の見学です。戦前の日本近代美術建築の傑作と言われ、一般社団法人綿業倶楽部として使われています。見学箇所が多く興味が尽きない建物です。終了後、自由参加でしたがほとんどの方が参加され、綿業会館のお洒落なランチを大変おいしくいただきました。
  約三時間のコースは、楽しくてあっという間に過ぎました。三休橋筋は栴檀の木が整然と続く緑豊かな通りであり、近代の大大阪時代を思い浮かばせるレトロな近代建築が軒を連ねる様は、かつての船場の繁栄を彷彿とさせます。地元の方々や三休橋筋愛好会といった方々の活動もあり、素敵な散歩道に生まれ変わりました。案内人の三休橋筋愛好会メンバーである森山秀二さん、創建当初の写真を拝見しながらの説明は大変解り易く、かつ三休橋筋への熱い想いが感じられました。
  ありがとうございました。魅力ある大阪のまちづくりを推進し、元気な大阪を取り戻して欲しいと切に願った次第であります。
文/新井律子



  大阪の下町に生まれ育ち、はや○○年。そんな私が、心地よいカルチャーショックを受けた街歩きの半日であった。
  関西と言えば『大阪のおばちゃん』
豹ガラをまとい、飴ちゃんを必ずバッグに忍ばせているという『大阪のおばちゃん』いや『大阪マダム』でさえ、果たして何人がご存知であろう?市内にこんなにも素敵な街並みがある事を。。。情熱のこもった建物の点在する通りがある事を。。。
  スタートは中央公会堂
三休橋筋愛好会のメンバー 森山 秀二氏の、耳に心地よい口調でのご案内で約3時間の街歩きを満喫した。
  一時は激しい雨に打たれながらも、現在 植え替えられている栴檀(センダン)の若木から零れ落ちる水滴が、まるで「水でも飲んで一服なさい」と話しかけてくれているような気がして、雲間から射す日差しにホッと出来たのは、私だけでは無いだろう。
  三休橋の謂れを調べて見ると『長堀橋・中橋・心斎橋の三つの橋の交通量を和らげるために貞亨年間(1684年)以前に架けられたもの』らしい。今では船場界隈に勤める会社員は元より『三回休める三休橋筋』の合言葉の如く、若者や街歩きを楽しむ人々で賑わっている。
  故人の想いが詰まった中央公会堂を経て、三休橋を渡ると・・・「ちょっと散髪でもしようかな?」っと 吉田理容所へ・・・(一休み)
  緒方洪庵の適塾を通り、国内最古の民間幼稚園 私立愛珠幼稚園の門前を過ぎ行くと外壁の装飾に目を奪われる八木通商ビル・旧大中証券ビル
  その少し先には、柔和な若い牧師さんがいらっしゃる浪花教会で・・・「日頃の懺悔を・・」
・・・(二休み)
  こだわりのショップが入っている芝川ビルに立ち寄り、吹き抜けの中庭が広がる船場ビルディングに憧れ、圧巻の綿業会館の応接セットに腰を下ろし・・・(三休み)
  上記は、あくまでも個人的な(三休みプラン)では有るが、歴史と海外と現在がコンパクトに集約されたような、重厚で有りながら異文化に憧れた先人の情熱と現代人が求める癒しがバランスを取り、妙に優しく語り掛けてくれる三休橋筋である。
  今回のセミナーで強く感じ入った事のもう一つに、参加者皆様の穏やかさと熱心さだ。
無駄口は慎まれ、集合時間は守られるマナーの良さ。しかしながら、見るべきポイントは外さない。見学時間の比較的あった綿業会館では、壁面に埋め込まれたタイルを手触り、テーブルクロスを少しめくっての脚部の観察、冷暖房機器の確認、床と天井の調和等など、案内人様の話を熱心に聞き入っておられた。
  建物に対する関心度の強さと知識を吸収しようとする熱意に刺激を受けた。

  財産を投げ打って中央公会堂の建設に寄付した岩本栄之助氏・発想豊かな先人の設計士達・繊維で大阪を牽引した日本綿業倶楽部創設者
  これらの故人と共通する想いがあるとするなら、建物に対する良い意味での〔執着と情熱〕だと触発された。
  見る・聞く・感じる・匂う
セミナーに参加しなければ体感出来なかった感覚。
少しは私などもセンスアップ出来ただろうか?
  そうそう、五感のもう一つは 味覚
綿業会館地下レストランのランチは最高だった!
  いつもは車で素通りするような、なんだか古い建物だと行き過ぎてしまうような街並にも、さまざまな過去のストーリーが有るものだ。
そして、愛好会や企業・地域の方々の支援で ガス灯がともされ、歩行者優先に道幅が拡げられ、景観重視から電線は地中に・・・と歴史ある街は、もう未来を見据えて進化している。
  三休橋筋・・・今日は本当にTHANK YOU(サンキュウー)
          (最後は大阪のおばちゃんの駄洒落で。。。)
  次回のセミナーにも沢山の方々が参加なさることを願って。
大阪市在住 中谷啓子氏 48歳



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