186
「リ・ライフ」セミナーのご報告
      日   時 令和5年9月9日(土)午後1時00分〜
午後5時30分頃まで
場   所 「世界遺産比叡山延暦寺」
参 加 人 数 13名
テ ー マ 『日本仏教の聖地、比叡山延暦寺を辿る…』



ボランティアガイド田村さんからの説明

【東塔】根本中堂

根本中堂・修学ステージ

【横川】横川中堂

【横川】元三大師堂

【西塔】釈迦堂
 今回は、ボランティアガイドさんの案内で世界遺産比叡山延暦寺を巡りました。「延暦寺バスセンター」に集合。案内人の田村さんが笑顔で迎えてくれました。
比叡山延暦寺とは、延暦7 年(788 年)に最澄が開創した、1,200 年以上の歴史を持つ天台宗の総本山です。国宝的人材育成の学問と修行の道場として、法然・親鸞など日本仏教各宗各派の名僧を多数輩出。日本仏教の母山と呼ばれています。さらにその歴史と伝統が高い評価を受け、1994年古都京都の文化財の一部としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。延暦寺の境内は3 つの地域に分かれており、東塔(とうどう)・西塔(さいとう)・横川(よかわ)と区分されています。
まずは東塔・根本中堂へ向かいます。東塔にある根本中堂は、延暦寺最大の仏堂であり、延暦寺の総本堂にあたります。建物は国宝に、廻廊は国重要文化財に指定されています。今回、国宝の根本中堂ならびに重要文化財の廻廊の改修作業中の様子も見ることができました。入ってすぐの内陣までの廻廊の柱は、塗装を剥がした本来の木の色で、これから塗装されるとの事でした。1,200 年灯し続ける灯明「不滅の法灯」のある内陣は厳かな雰囲気でした。最澄が一乗止観院を建てた際、仏法がいつまでも守り伝えられることを願って灯した法灯です。おまいり後、修学ステージから屋根の高さまで登っての見学、今だけの本来見ることができない建物の様子を見ることができました。平成二十八年度から約十年をかけ大改修しています。
シャトルバスに乗り、横川へ。横川の本堂あたり、非常に美しい景観を見せてくれるのが横川中堂です。舞台造りで全体的に見て船が浮かんでいる様に見える、特徴的な外観をしています。おみくじ・魔除けの角大師で有名な元三慈恵大師良源を祀っている四季講堂(元三大師堂)をおまいりしました。
西塔へ。第2世天台座主寂光大師円澄によって開かれました。本堂は釈迦堂(転法輪堂)です。4時の閉堂ぎりぎり間に合いました。皆さんで記念撮影して今回のセミナーを終えました。
ガイドさんの丁寧な説明、市街地より5度~6度低い気温、快適に効率よく巡ることができました。ありがとうございました。お疲れ様でした。
これからの改修工事の進んだ様子にも関心があり、またゆっくりと訪れてみたいです。
文/新井律子




行きは、滋賀方面から日本一の長さを誇る坂本ケーブルで比叡山に登りました。二つのトンネルをくぐり、眼下に望む琵琶湖の景色が、より一層わくわくを掻き立てました。

何の前知識も持たず参加した今回のセミナーでしたが、博識でおしゃべりが上手なガイドさんが、ユーモアを交えながら案内してくださり、心に残る場面が多くありました。

現在改修真っ只中の国宝根本中堂では、屋根を上から見るという改修中だからこその体験をする事が出来ました。屋根の改修作業では、長野県から運ばれた七万枚の椹の板を一枚ずつ張っていく、銅板を間に挟む防腐の知恵、知り得るのはほんの一部ですが、丁寧な作業に、何百年も受け継がれる建物や当時建築に携わられた方への敬意を感じました。

特に印象に残ったのは西塔エリア。
にない堂や今回は回りませんでしたが浄土院など、昔の話ではなく今現在も僧侶の方が修行をされているすぐ側を訪れる事が出来ます。気配すら感じませんでしたが、今まで見た完成された表側のお寺ではなく、様々な人の覚悟や裏側を感じる事が出来ました。

比叡山そのものが延暦寺であり、囲われたお寺ではなく、外部の人間を締め出さず、全てを受け入れてくれる温かさがあります。
最澄さんの「一隅を照らす、これ即ち国宝なり」という教え。
皆一同である必要はなく、個性を尊重する教えは、子育て中の私の心に沁み入りました。

とは言いつつ、帰りの叡山ケーブル、京阪電車に乗る頃には、携帯アプリで効率的な乗り換えを検索する、効率重視の現代人にすっかり戻っていましたが、、、

今回も貴重な経験をありがとうございました。
企画、準備にご注力いただきました津島さん、新井さんに感謝申し上げます。

阪南市在住 重走朝子氏 40歳代
      日   時 2023.5.27(土)午後1時30分~5時00分頃まで
場   所 大阪府泉佐野市 新井邸
参 加 人 数 24名
テ ー マ 『100年終の棲家-リフォームを愉しむ』



建物玄関
10畳座敷で説明
玄関前で作庭の説明
食堂前庭の説明
シンボルツリーはアメリカンハナミズキ
 この住宅は、大阪市と和歌山市のほぼ中間に位置し古くは熊野詣の街道筋としてにぎわい始め、江戸時代には漁業、廻船業、醸造業、さらに綿織物業等により独自の町人文化を開花させた泉佐野「さの町場」の中にあります。
 以前建物の設計をさせていただいた方を含め、たくさんの方にきていただきました。皆さんにゆっくり見学していただくため、1時半からと3時からとに、二班に分かれていただきました。
 客用玄関から入り、応接間・8畳和室・仏間・寝室・トイレ・洗面・食堂・台所玄関と見ていきます。そして、10畳の座敷でテレビを使いPowerPointで説明をしていきました。改修前の写真と工事中・改修後の写真を見ていただくことで、改修の大変さがわかっていただけたかと思います。
「100年以上前に建てられた入母屋・しころ葺き屋根の平屋建て和風木造住宅です。両親の結婚後の住まいとして、古家を購入・改修し、住み始め、私も生まれてからずっとここで育ちました。この家に対する愛着・思い入れがあります。母が4年前に亡くなった事と道路に下水道が通ったこともあり、「終の棲家」として、あらためて暮らし方を見つめなおし、住まいの改修をすすることにしました。工事期間は6か月、造園工事2週間です。
 母の寝室だった座敷に、ベッドを移動し、寝室だった部屋を食堂にしました。天井を撤去、梁現し、土間風の床と当初のかまどのあった雰囲気の部屋に戻しました。井戸屋形への通路部分を台所にして、台所だったところをトイレと洗面にしました。以前からトイレが外廊下から行くことになっており、家の中にトイレを設けるのが切実な願いでした。浴室はユニットバスに変更、庭を見ながら歯を磨く、トイレとお風呂は暖かく快適になりました。また、庭を眺めながらのゆったりとした食事は、大変美味しく感じられます。前栽のブロック塀も木製の大和塀にやり変え、玄関前・食堂前の庭も、暮らし方研究会会員の江夏庭苑事務所に作庭を依頼して見違えるように生まれ変わりました。」
 玄関前と、食堂前の芝生のベンチで記念撮影です。
 江夏庭苑事務所・江夏大三郎氏に説明いただき、ますます庭づくりに興味がわきました。
 工事をしていただいた工務店さん、お庭をしていただいた江夏さん、それと参加いただいた沢山の方に感謝です。ありがとうございました。
 最後に、津島代表理事から6月末にスタートする《「終の棲家」ご意見募集キャンペーン》の説明がありました。「終の棲家」を真剣に考えておられる方はこの機会に暮し方研究会のホームページの精読をお勧めします。
文/新井律子




 2023年5月27日、見学会としては最高のお天気となりました。この日、私達はいつも大変お世話になっている新井先生のご自宅を見学させていただくことになりました。
 親御さまから受け継いだ家を大切に思いながら、それを「終の棲家」と決め、機能的で快適な生活を送れるように考えてリフォームを決断されたのだと思います。

 束石の上に柱が乗っていましたが、高さを調整し床の水平を作り出しました。築100余年の間取りを、それぞれの部屋の用途を大胆に組み替えながら、新しく快適に暮らしていけるよう工夫されていました。思い出深い襖とか家具とかの調度品を上手に残されて活用されていました。建具の扉とか波のあるガラスの戸とかがとても記憶に残っています。
 以前寝室だったところは、天井をとって梁を出し、石張りの床暖のある食堂となり、そこからは芝生で開放的に見えるお庭を臨めます。丸瓦を散りばめ三和土のアプローチは何とも優しい雰囲気を醸し出してくれ、その向こうにある木々や草花へと視線を誘ってくれます。 一方、玄関前のお庭は、元々からあった植木や石造物を移動させたり少し手を加えて改造されたりして、広々としたお庭へと変身したようです。

 ゆっくりお宅の中とお庭を見学させていただき、リフォームの可能性の豊かさを改めて感じました。新井先生には、個人のお宅にも関わらず、惜しみなく見学の機会を与えてくださりありがとうございました。
宇治市在住 江夏節子氏 60歳代



 南海泉佐野駅から案内図を見ながら少し西に進むと道幅も相当狭い古い町並みになり約5分程で大和塀でしころ葺き屋根の新井様の生家が見えて来ました。想像通りの風格のある立派な建物です。早速案内頂きましたが年数は感じますが文化財級の内部造作、数々の素晴らしい調度品があり ご家族の営みが脈々と受け継がれている家の履歴書たる建物に感動しました。余談ですが、建築家としての新井様の本物、美しい物を見る感性、見識がこの空間で育まれたのでしょう。さて、今回のセミナーのテーマ(100年終の棲家―リフォームを愉しむ)はどのように愉しまれたのでしょうか。そこで勝手ながら私の希望する(終の棲家)とは?
1.自分が納得する"いちばん、いい家"である事
2.いつもいる部屋がある事
3.ガーデンがある事
 今回のリフォームで土間風の食堂を造られていました。タイル床には電気床暖房が敷設され、梁が見える高い天井、そこに大きなダイニングテーブル。北面には大きな吐き出し窓。今回造園された広々とした芝生のガーデンへと一体化する何とも開放的な空間に仕上がってました。緑との触れ合い、四季を感じながら心を穏やかにする"いつもいる部屋"候補です。この空間で一時を過ごすのはなんと優雅で贅沢な事でしょうか。芝生の周りには種々の庭木が植栽され春には開花、夏は輝く緑、秋は紅葉、冬は次の芽吹きが待ち遠しく感じる。未来への期待。来年、5年後10年後の変化が楽しみです。今回のリフォームで水廻りの配置もコンパクトにまとめられ非常に動線が良く使い易くなってました。前栽のブロック塀も大和塀に変えられ一段と建物の風格が上がった様に思いました。築100年の歴史ある建物とリフォームでのモダンな空間の融合がマッチしてとても気持ちの良い使い勝手の良い また、様々な思い出がいっぱい詰まった素晴らしい終の棲家。"いちばん、いい家"と感じました。
藤井寺市在住 辻田庄吾氏 60歳代

      日   時 2023.4.1(土)午後1時00分~5時00分頃まで
場   所 石の寺教林坊、ラコリーナ近江八幡
参 加 人 数 23名
テ ー マ 『千年もの昔と今、ふたつの建築を実見する…』



「石の寺教林坊」茅葺総門
書院で記念撮影
池泉回遊式の名勝庭園
ラコリーナ近江八幡 草屋根
バームファクトリー
バームファクトリー2階テラスからの眺め
さようなら松下忠義さん
 近江八幡駅南口ニッポンレンタカーに集合、レンタカーを借りて「石の寺 教林坊」「ラコリーナ近江八幡」を巡りました。
 まずは、近江八幡市安土町にある天台宗の寺院「石の寺教林坊」を訪れ ました。茅葺の総門を抜け、階段を登っていきます。たくさんの木々の中、整 備された坂道を進み本堂に向かいます。「教林坊」は、西暦605年、聖徳太 子によって創建されたと伝わり、林の中で教えを説かれたことに由来し、境内 には「太子の説法岩」と呼ばれる大きな岩とご本尊を祀る霊窟が残され、「石 の寺」と呼ばれています。ご本尊の観音さまは同じく聖徳太子作で、赤川観音 と呼ばれ、困難な願いも二度参れば叶う「再度参りの観音」と信仰を集めてき ました。書院南側の庭は、枯れ滝、鶴島、亀島など巨石を用いて豪快に表現 された、桃山時代を象徴する池泉回遊式の名勝庭園で、小堀遠州の作とい われています。晩秋には2000 坪の境内をうめる約300本の古木が紅葉で真 っ赤に染まり、数千本の竹林とのコントラストは拝観者を魅了しています。紅 葉の季節にもう一度、訪れてみたいと思いました。
 次は、「たねや」や「クラブハリエ」で有名なお菓子メーカーの本社でお菓子 と自然を楽しむことが出来る「ラコリーナ近江八幡」を訪問しました。この施 設の建築を手掛けたのは、建築家、建築史家の藤森照信氏です。藤森氏が 「科学技術に自然を着せる」建築の集大成と話す「ラコリーナ近江八幡草 屋根」(2015年竣工)で、日本芸術院賞を受賞しました。「人間のつくる建築に 神様がつくったとされる自然を組み込むのは至難の業」とその難しさを試行錯 誤の末に「ラコリーナ近江八幡草屋根」で課題をほぼ解決し、完成させま した。そのほか、ランドスケープアーキテクトの重野国彦氏や京都大学大学 院・准教授の小林広英氏などが関わっています。屋根一面が高麗芝におお われた緑の三角屋根“草屋根”をはじめ“銅屋根の本社建物”や田んぼや自 社農園など自然との一体化、素晴らしいです。銅屋根の手前にあるのが、  「栗百本」というカステラショップ。栗の木を100本以上使い、皮を剥いで柱に しています。バームファクトリーの2階で「できたてのバームクーヘンmini」をい ただき、カフェから通じるテラスでラコリーナの全貌を見渡すことができまし た。たくさんの人手にも関わらず、のんびりとした気持ちになれました。
 教林坊で心癒され、ラコリーナでは童話やジブリのアニメに出てくるかのよ うな懐かしい風景に心躍りました。楽しい一日をありがとうございました。
文/新井律子

事務局からのお知らせです。
本年1月13日。暮らし方研究会設立発起人のお1人、
オスモ&エーデル(株)の創業者松下忠義氏が逝去されました。
81歳でした。
合掌


 暮らし方研究会の先輩方、大変ご無沙汰しております。今回、家族5人揃って、セミナーに参加してまいりました。
 第184回セミナーに参加された皆さま、先日はご一緒させていただき、ありがとうございました。教林坊では、ゆっくりと流れる時間を楽しみにされていたことでしょう。ところが、お寺の境内に入った途端、我が家の3人が「よーいどん」と駆け出し、つられて皆さまの足取りもトントンと早く軽やかになってしまったように感じます。「遊びを見つける天才だね」などと沢山お褒めいただき、3人ともが有頂天になり饒舌になる姿を、ヒヤヒヤしながら見守っておりました。
 今回のセミナーで感じたことは、自然を生かすことと時間を重ねることの美しさでありました。
 教林坊では、緩やかな山道に沿って歩いていくと、苔むした大きな岩が迎えてくれます。この場所に鎮座し、長い年月を過ごしてきたことがひと目でわかる迫力がありました。境内では、すっぽりと山の懐に抱かれたような安心感を味わいました。我が家では、ついこの間まで、リビングの横にある和室で5人揃って就寝していました。子どもたちが先に寝つき深い寝息が聞こえてくると、大きな安心感に包まれ「お母さんの子宮の中はこんな感じかな」と想像することがよくありました。教林坊での安心感もこのような感覚に、少し似ていると感じます。それほど離れていない場所に育つ桜の木々は、一部咲きの木から五分咲きの木まであり、それぞれの早さで心地良さそうに育っていました。家庭では家族の、職場では子どもたちの「健やかな育ち」を第一に考え日々暮らしていることもあり、皆この自然のように、競うことなく伸びやかに育っていきたいものと感じました。
 さて甘党の我が家のお楽しみラ・コリーナ。本日のメインイベント『バウムクーヘン』
へ続く回廊は、まるでジブリの世界に迷い込んだような雰囲気でした。回廊の屋根に施された芝からは、途切れることなく水が滴っており「?」と思っていると、スタッフのお一人が「芝が枯れてしまわないように雨水を溜めているのです」と教えてくださいました。訪問した際、芝は枯れているように見えましたが、きっと季節を変えて再訪すれば生き生きとしていることでしょう。山の緑と、屋根に施された芝と同じ色をした塗壁、目に入る色彩がとても優しいものでした。また、至る所に小さな扉があり、小さい人たちがクルクルと入ったり出たり、知らない人と譲り合いつつ遊んでいる姿がとても微笑ましいものでした。
 今回訪れた教林寺もラ・コリーナでも、自然の中へ人がわけ入り自然を生かしながら、自然の流れの中で暮らしていくことの面白さを感じることができました。今日もまた、家族の暮らしが始まります。健やかに伸びやかに、時間を重ねていこうと思います。皆さまとまたお会いできますように。
島本町在住 山本佑子氏 40歳代



↑ページの一番上に戻る

E-Mail:ask@kurashikata.gr.jp
フリーダイヤル:0120-11-6584いい 老後やし! FAX:06-6356-7225
Copyright(C) 暮らし方研究会.AllRightsReserved.