老後のヒント

※老後のヒント  
 老後を暮らす
   研究会が出版した──今、本質のライフスタイルを求めて──「やさしさを生きる…」の第7章のエピローグ「優しさを生きる達人」でも触れていますが、自然を尊び、生命を尊び、食を尊び、暮らしを尊び、高齢者として信念を持って、最後まで積極的に生き抜くことが大切だと思います。
 例えば、勤務していた会社や地域社会で得た人脈や活動を活かしつつ、毎日に生き甲斐を感じながら、社会活動や趣味などを通じて素敵に生きていただければと思います。
 まだまだ、老後の暮らしを楽しむ方法や考え方があると思いますが、ご自分が出来る範囲内で前向きに、気楽に力を抜いて、自分らしく暮らすために日々の努力を積み重ねてください。家族だけではなく第三者との交流も大きな刺激になり活力の源になるように思えます。

 心づもりを
   我国の人口統計予測ではここ数十年間は高齢者人口の増加が続き、加えて少子傾向に歯止めがかからない状況が続くとあります。加えて、国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、2030年には「お一人さま老人」が44%にもなるとのことです。一方、核家族化による世帯数は増加傾向にあり、先の予測が正しいと思わざるを得ません。可能であれば、昔の大家族のように… 両親と或いは片親との同居が望ましいと思いますが、如何でしょうか?
 そこで、研究会では、やがて訪れる老年期でも「イキイキと暮らす!」ための方策を模索してきました。概要をお話ししますと、まずは「心づもり」が大切だと思います。最近エンディングノートと言う言葉をよく耳にします。
 生活設計と同様に、ある程度の年齢にいたると意識しておくべきテーマではないでしょうか?

 老齢期の住居の形
   老齢期を迎え、精神的にも身体的にも楽に暮らせる住宅について、ご高齢の方々や有識者の方々のご意見をうかがう機会がありました。大多数のご意見は「生活の総てが一つの空間に集約出来れば…」と言うものでありました。思考能力や身体能力の衰退は、必需品の在り場所や日常行動の面倒さを招きます。生命維持の基本行動である、食べる、休む、寝るなどの行為が一部屋で行えるとしたら、また生活に必要な物が一目で見渡せたら、大変利便な生活が可能となります。シンプルな間取りとシンプルな生活パターンは事故防止にも直結した「終の棲家」の姿であると言えます。

 老いを認識すること

 家庭内事故
   家庭内における死亡事故は老人も若者も含め全国的にはかなりの件数になります。特に老人の場合は精神的な判断の遅れ、肉体的な条件反射の遅れなど本人に起因する事故が多数起きています。一方、住居の複雑な構造や迷いを生じやすい間取りなどが原因で発生する事故もかなりの件数あります。何れにしても若いうちは問題がなくても高齢化に伴い表面化する原因もありますので若いうちから備え慣れておくことは大切な老後への準備であります。
 人は誰しもこの世に生まれて成人し家庭を築き子供を育て、やがてご本人は老年期を迎えます。人生の大役を終え夫婦が互いを労わりながら静かに過ごす日々がやってきます。そして握力や腕力、視力や聴力、身体の敏捷性や柔軟性、判断力や記憶力などが日々低下してきます。加えて、新型の家電製品の扱いが難しくなり、健康保険証などの必要書類の所在を忘れ、老齢期につきものの様々な現象が起きてまいります。更に、車や自転車にも乗らなくなり、買い物や通院にも不便を感じる時がやって来ます。加齢と共に精神的・肉体的にもほころびが蓄積されるのは、自然の摂理だと認識することこそが肝心な時期に至ったのだと思います。
 だからこそ、やがてこの時期が来ることを前もって認識し、それに備えておくことが重要になります。本人が精神的肉体的に備え、住宅もそれなりに対応しておく、そして老齢期をより積極的に暮らすための知恵と工夫が求められる所以です。

 積極的に暮らす
   「住居のヒント」でも触れましたが、老齢期を迎える前に足腰の筋力低下や腰椎の狭窄など、全身の機能低下を抑えることは大変に重要であります。その一例がバリアフリーだと思います。現在身体機能が衰えておられる方には有効な対策でありますが、まだ大丈夫な方はバリアフリーではなくバリアアリー(有り)を意識して機能維持を図るべきではないでしょうか? つまり、「箱入りの老齢者」となるなかれ… だと思います。
 例えば、肉体的には積極的に階段を上り下りする、掃除も洗車も買い物も運動のつもりで、鍛える部分を意識しながら行動する。精神的には、長年暮らした家なら夜間は電気を点けず、危険のない範囲で移動を試みる、階段ならあと何段で終わる、など感覚を常に研ぎ澄ましておく。などの積極的な頭脳機能と身体機能の維持に努めることが大切な要素だと思われます。
 今、人気のフェイスブックやツイッターやラインなど外部の刺激を家に居ながら受けることも… 外に出れば近隣の方々と積極的に交流を行うことで、介護を受ける年齢を遅らせる効果が生じるものと考えられます。

 終の棲家考
   前項では老齢になられても飄々として余生を過ごされた俳人小林一茶さんの庵での暮らしを説明しましたが、<起きて半畳、寝て一畳>と言う言葉もあります。何れも達観した究極の暮らし方を示唆しています。勿論、家族がおられる家庭ではここまで自由にシンプルには暮らせませんが、今を流行りの断捨離と同様、人生の終盤にこそ相応しい思考だと思えます。
 無駄を省き、エッセンスだけを残す。そして、最後の時まで人生を謳歌し尽くす、素敵な生き方だと思われませんか? 是非、心に留めておいていただきたいものです。  百人百通りの人生があるように、百人百通りの住居があって然るべきです。愛着を持って自分流に手をかけた住居はきっと心を満たし、人生を豊かにしてくれると思いますが、如何でしょう?
 苦労して建てた住処、子供を育てた住処、主と共に年老いた住処。人生も住処も風雪に耐え、家族同然の関係が生まれますそこは、懐かしく、心を落ち着かせ、心身を癒してくれる心地よい場所です。次代に住み継ぐことは、何ものにも替え難い故郷そのものではないでしょうか?
 そのような価値観で住居を考えていただければ、暮らし方研究会が<今こそ「終の棲家」>にこだわる真意を理解いただけるものと思います。
 次に、暮らし方研究会が<「終の棲家」を暮らす>ために推奨するプランをご参考ください。



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