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今回は、「11年の学びを経て、建替えを・・・」と言うテーマで、滋賀県東近江市にて完成したばかりのN邸において新築見学セミナーが開催されました。
現地の最寄駅はJR東海道本線能登川駅で、京都駅から新快速でさらに約40分。会員の皆様にとっては少々遠方での開催とあって参加者は少人数かと予測しておりましたが、当日は16名の方々がご参加くださり、なかには遠く神戸市須磨区よりわざわざお越しいただいた方もおられ、やはり実際の建物見学セミナーに対する皆さんの関心の高さが伺われました。
当日は、残暑と呼ぶには暑すぎるほどの汗ばむ陽気ではありましたが、建物の道向かい、ちょうど南側に位置する天神社の鎮守の森がおとす大きな木陰の下で、辺りには心地よい湖風が吹き抜けていました。
完成したばかりの建物の中へと住まい手であるNさんにお迎えいただき、障子を通して射し込む柔らかな光が印象的な室内の中でセミナーが始まりました。
まずは研究会事務局から、Nさんの人となりや今回の建替えに至るまでの経緯についての紹介があり、そして今回の担当建築家である新井律子建築設計事務所主宰・新井律子氏より、本計画の概要、建物についての説明がありました。
今回の建替え計画は、研究会の会員として11年の長きに渡って多くを学ばれた住まい手のNさんが、お母様と二人で暮らす住み心地のいい「終の棲家」を求めて、築50年の住居の建替えを決意されたという経緯を経ておられます。
設計にあたっては、Nさんが長きに渡って紡いでこられた住まいへの思いと、それらを書き溜めた要望書をもとにプランニングが進んでいったというお話がありました。いくつかの主なキーワードとしては、和モダンでシンプルなデザイン、ユニバーサルデザインであること、光が入り風が通り抜け夏涼しく冬暖かいこと、セキュリティがしっかりしていること、向かいの神社の緑を借景として取り込むこと、そして決して奇抜ではない“普通の家”であることなどでした。
その結果完成した、深い軒の出を持つ大屋根の外観、生活機能のすべてが1階で完結するオープンで回遊性のあるプランニング、ダークカラーを基調としたしっとりと上質感を醸し出す室内空間、神社に面した大きな掃き出し障子を開けると道路とのバッファーゾーンとなる植栽とその向こうに広がる鎮守の森の借景など、この住まいの心地よさを皆さんもじっくりと堪能されたようです。
途中休憩時間には、京都伊勢丹で常に行列のできるお土産と専ら評判の、満月の阿闍梨餅をみなさんでいただきました。
住まい手のNさんからも、今回の建替えに至った経緯や長年温め続けた住まいへの思いを実現できた喜びなどをお話いただき、自由見学時には参加者の皆さんもNさんにいろいろと質問をしておられました。
今回のセミナーにあたり、完成したばかりの大切なお住まいを快くご提供いただいたNさんに大変感謝いたします。また、遠方からご参加いただいた皆様も本当にありがとうございました。
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文/豊住研株式会社 太田慎二
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