日   時 2017.2.4(土) 13:30〜17:00
場   所 大阪府三島郡島本町東大寺  山本邸
参 加 人 数 30名
講   師 新井律子
暮らし方研究会顧問、
新井律子建築設計事務所主宰
テ ー マ 『終の棲家を実地見聞…』



外観
施主さん(左)
宏聞建設工業・中澤社長
奥様
セミナー風景
記念撮影
  冬の青空に三角形の赤い大屋根が映える新築建物見学会でした。
  施主ご夫妻は、暮らし方研究会が開催する無料初期相談を受けられ、研究会が強く推奨する「終の棲家」の住宅プランを大変気に入られました。この住宅プランは、父と子の親子二代に渡り米国の著名な建築家W.M.ヴォーリズ氏の薫陶を受けた、ご子息の吉村康雄さんのご自宅と暮らし向きがモデルになっています。
  施主は終の棲家の理念である「素朴で謙虚な暮らし…」に強く共鳴され、プラン通りの住まいを建築する運びとなりました。プランによる、平屋ベースの二階建、シンプルな間取り、内部の構造現し(内部に化粧を施さない)、杉材の質感と香りなどが、特に気に入られたようです。
  会場では研究会の代表理事から、会が2004年に出版した、老建築家(吉村康雄さん)とカメラマンの対話集「今、本質のライフスタイルを求めて-やさしさを生る・・・」という本が紹介されました。文中の老建築家とカメラマンの「出逢い」の章を施主であるご主人が…、カメラマンに贈る「追悼詩」を建物施工の工務店の社長が…朗読されました。今や共に鬼籍に入られましたが、「終の棲家」への想いとご縁が新築建物として新しく生まれ、永らく研究会にご尽力いただいたお二人の熱い情熱が昇華した瞬間を垣間見た思いでした…。
  その後、私からパワーポイントで画像を見ながら、建物完成までの経緯、建物の特徴と仕様、などを説明させていただきました。ご家族は、小学校教員の36歳のご主人、支援学校教員の37歳の奥様、3歳の男子、1歳半の女子の4人です。身長188センチと長身でギターがご趣味のご主人、小柄で料理好きのかわいい奥様、共に子供が健やかにのびのびと暮らせることは勿論、次の代でも自信を持って暮らし継げる家を…とのご希望でした。
  大柄のご主人からは浴室とトイレは広く、天井は高く、土間のある広い玄関、たっぷりな収納スペース、特に子供たちに故郷感を抱かせる木の家を…とのご要望をいただきました。奥様からは小さな素朴な家で、ちゃぶ台で家族が仲良く明るく暮らせる家を…とのご要望がありました。
  さて肝心の土地選びには一年間を費やし、島本町東大寺で40坪の土地が見つかりました。西と北が道路に面する角地で、南側には既に古い住宅が建っており、南からの光を如何に取り込むかが課題でした。西日対策には深い庇を設け、夏にはすだれをかける予定です。西側の縁側はご近所のお友達を迎える玄関となり、ご家族の日向ぼっこや夕涼みの場ともなります。
  現場監督さんからは施工で難しかったポイント、奥様からは「家づくりは家族づくり」であることを説明いただきました。ご参加いただいた皆様からも色々なご意見をいただきました。有意義な見学会へのご参加をありがとうございました。
  これから如何様な暮らしをされるのか? 大いに楽しみな建物となりました。
文/新井律子



  今回の新築見学会は暮らし方研究会25周年にふさわしい家でした。
施主夫妻の人生設計の中で暖められてきた思いが存分に組み込まれた家に感動させられました。
  「終の棲家」をテーマに、ご夫妻の父である津島さんが長きにわたって数多くの住まいをプロデュースされてきて得られた知識の総決算が、二人の思いと合致して生み出された建物であることは間違いないと思いました。
  日々、経済的な制約がつきまとう暮らしの中で身の丈にふさわしい考慮された土地・建物の広さも現実味があって壽こばしく思いました。

  高い三角屋根の外様は誰にでも愛される体をなしていて、一歩足を踏み入れるや木の香りが漂い、屋内は杉材がすべてにふんだんに使われている。
あらわになった木組みの太いこと、その強靭な様は誰が見ても安堵感と絵になるように感じとれる。
中心になる吹き抜けの部屋に寝ころんで杉板の壁面をみながら過せる子供達も、木組みの不思議や節目をみながら想像たくましく過すことでしょう。
部屋の間取りも効果よく区切られ、しかも心のゆとりを感じさせられる贅沢な空間、使いかってのよい動線を念頭において作られている。

  土地探しからスタートしてこの素晴らしい家が完成するまでたずさわって下さった多くの方々に、見学させていただいた一人として感謝したいと思います。

(余談)雅也さん、選ばれたメインの楊梅の木は楠木なみの大木になると思うので伸び放題にしないで上手に剪定して下さいヨ
佑子さん、にくいほど、うらやましい家になりましたネ
長岡京市在住 山口テル子氏 78歳

第156回暮らし方研究会『リ・ライフ』セミナー 新築見学会に参加して

久し振りの新築見学会の参加です。続いていた不安定な冬空と寒さは少し緩んで晴天に恵まれました。きっと天気も応援してくれています。なんと翌日には冷たい雨が降ってとても寒い日になりました。
JR東海道本線「島本駅」下車、山並みの姿がはっきりと見えて田舎者の私には何だか懐かしい風景の中、とことこと15分ほど歩きました。見えてきたのは赤い色の大きな屋根、外観はまさに山小屋、玄関ドアを開けると雪国にある風除室の様な煉瓦敷の大きなエントランス。そこから部屋に入るには、セキュリティ対策の二重構造で鍵のかかる大きな引き戸が入る予定だそうです。一般住宅の3倍もの木を惜しげもなく使っているという室内に入ると杉の香りがして心地よい。この木の香りはいつまで続くものかなと疑問が湧いたのだが、これだけの木であれば結構永く続くのだろうなと勝手に納得。
吹き抜けになっている室内に上がると両側に部屋が配置され、正面には施主夫妻がお二人とも学校の先生なので造り付けの大きな本棚が設けられています。
大工さんの仕事の素晴らしい出来栄えに感服、筋違や金具、配線など壁で覆うことなくとても合理的な処理だと感じました。
リビングから庭先にはサイズとしてはウッドデッキと呼ぶ方がしっくりくる縁側、ここで暖かくなれば天気のいい日にはゴロンと横になれそう。庭には1本の山桃の木が植わっており生垣はレッドロビン、育ちが早いそうですぐにその役割を果たしてくれるはずです。
暮らし方研究会の「終の棲家」を選んだ施主のご夫妻は、小さなお子さん二人とこの家で日々を重ねていくことになります。子供たちが健やかに成長していく姿を想像してしまい微笑ましく優しい気持ちになります。
施主ご夫婦の挨拶、感謝の言葉。工務店の社長、現場監督、園芸師の方、自然塗料のメーカー、土地捜しに奔走され結果的に仕事にはならなかった不動産会社の社長など、この「終の棲家」の建築に携わった方々の挨拶、そして新井建築士の詳細な建物説明、OB会員のプロ並みのレベルの質疑応答。そして津島代表が感極まった姿にはこちらも少し目頭が熱く、、、。
    暮らし方研究会の25周年に相応しい見学会であったと思います。あらためて感じたのは、見学会という名前ではあるけれど、施主の方はお披露目、祝福される場であり、それは施工に携わった方々も同様に自分達の作品の発表会なのです。見学会の参加者は部材や設計など勉強や参考にする場であり、これから始まる施主家族の暮らしを応援し祝福したくなるそんな優しい気持ちになれる場だと思います。
暮らし方研究会が、施主やその家族らと建築に携わる様々な人たちと25年にわたり築いてきた信頼がそこには確実に存在していると感じることができました。
高槻市在住 鈴木重三氏 58歳

  2017年2月4日、第156回「リ・ライフ」セミナーに参加させていただきました、江夏庭苑事務所の江夏泰治郎と申します。
今回見学させていただいた大阪府島本町ののどかな環境にあるお宅は、外壁が漆喰塗りの塗装で温かみを感じさせ、三角屋根の山小屋風の外観はどこか懐かしさを覚えるものでした。自分の家ではないのに、「おかえり」と迎えてくれるような安堵感さえ与えてくれそうなお宅でした。見通しの良い庭にはかなり広いウッドデッキスペースがあり、これが地面よりかなり低く抑えられており、ちょっと腰掛けるにちょうどよく、快適に感じました。ご近所さんがふらりと立ち寄ってここでおしゃべりしながらお茶などするということを想定されているそうで、家と周辺環境との関わり合いとか距離感というのも家と庭を計画・設計する際には大切な要素となることを感じました。家を完全に塀などで囲ってしまうことも一手、こうして見通しをよくするのも一手なのですね。最近は高い塀で家を囲うより、見通しをよくすることにより防犯性を高めるという考え方もあるそうです。周辺は閑静な環境で、都会のような人通りがあるとは考えられないので、これがここでは最適解なように感じます。
  玄関へ入るとまずレンガ敷の玄関土間があり、ここから一段上がると家の中心部に当たるホールがあります。広い吹き抜けのホールの中心からはこの家の二階を含め各部屋を見通すことができます。このことは家族の気配を感じ取りやすいということであり、家庭愛を育むにはぴったりであると感じます。壁や床・天井は全て杉板張で木の香りがぷぅんと香りリラックスします。家の中を歩いてみると杉の床材特有のアタリの柔らかさを感じるのと同時に、すごくしっかりとした印象を得ます。これは床材が6cm厚であることから来るようです。またこの床材の厚みにより構造上根太が必要でなく大引の上に床材が固定されているそうで、目から鱗モノでした。壁は所により構造がむき出しになっており、筋交いがこの家を支えているという安心感を得ます。ここを含め木の手仕事が各部目の届くところにあるので、大工さんはいい加減なことができないので、ご苦労があったと思います。
  このお宅で一番感じたことは間取りがシンプルであることです。ホールと吹き抜けを中心に各部屋が配置されており、ある種割り切りの良さを感じます。間取りがシンプルであるということは、動線がスムーズとなることにも繋がります。生活する上でこれは大変重要ですね。特に共働きのご家庭であるということで、家事にたっぷりと時間は費やすことは難しいでしょうから、この間取りは最善であったと思います。またこれから時を経て生活のスタイルの変化に応じて、間仕切りなどを増設したりするのもやりやすいかと思います。
  このセミナーに先んじて当事務所はこのお宅の造園をさせていただきました。玄関先はドウダンツツジとテイカカヅラの棚を植栽しました。またデッキ前は四ツ目垣とレッドロビンの生垣、シンボルツリーにヤマモモを植栽しました。シンプルなお庭のつくりですが、まとまりのよいものができたと感じています。家と緑の対比も美しいものとなりました。お子様の成長とともにヤマモモも立派になっていくでしょう。近くにヤマモモ(雄の木)があれば、果実を楽しむことも期待できそうです。
  最後にご家族の新居での新しい生活のスタートをお祝いするとともに、皆様のご健康とさらなるご活躍をお祈りします。
宇治市在住 江夏泰治郎氏 35歳

暮らし方研究会第156回セミナー感想

此のたびは第156回セミナーに参加させていただき有難うございました
創立25周年記念の年だそうです
津島代表理事様の子供さんの家の新築現場ということで楽しみに伺いました
先ずJR島本駅から案内していただき徒歩で程よい距離にあり道中はまだ未開発の自然の雰囲気の中、疲れも知らず到着しました
真新しい生垣、矩勾配の切妻屋根の素敵な家一目で暮らし方研究会の終の棲家と分かりました ガルバリュウム鋼板一文字葺きの大きな赤い屋根が印象的です
しばらく漆喰壁の外観を鑑賞させていただき室内に案内していただきました
玄関に入った途端、杉の気持ち良い香りに包まれ、上を見上げるときれいな木目の杉化粧野地板仕上げの天井が天窓に向かって高く伸びていました
室内は水回り以外は床も壁も天井も無垢の杉材一色の仕上げで本当の健康住宅です
構造材、壁筋違、構造金物もすべてあらわし化粧仕上げで大工さんの苦労が想像できます
内装仕上げにおいて大工工事だけで仕上がっており業種の少なさに驚きです
このため多業者の出入りが少なく仕上げ面の傷もなく隅々まで大工さんの高度で丁寧な施工が光っていました 心のこもった作品でした
建具未施工部分がありましたがすべて完成すれば今日の雰囲気は少し変わると思いました
家具やカーテン類生活調度品が収まった時どのような色彩空間になるのか楽しみです
津島様から土地取得から完成までの経緯の説明があり設計者の新井先生から打ち合わせ経過で若い施主様が終の棲家と考えて決断されたと聞き深い読みに感動しました
外装漆喰仕上げ工事にも内装木工事にも植栽工事にも施工者の気配りを感じました
此のプロジェクトで協力業者さんの技術力を見事に組み合わせて素晴らしい作品を作り上げられた暮らし方研究会の力を実感しました
津島様におかれては公私のけじめをつけ厳しい気持ちで取り組まれたと思います
私も色々な工事に携わってきましたが三笑主義という言葉を教わりました
施主・設計者・施工者が完成してすべて満足して終わるという意味のようです
この工事にはそれが成し遂げられたように思いました
施主様も若く、幼い子供さんの成長とともに庭の植木も成長し、木の家も年々味わいが出るものと思います
この家にはたくさんの人の思いが詰まっています 大事にお使いいただき楽しく素晴らしい生活が生まれますようにお祈りします
今日は素晴らしいセミナーに参加でき有難うございました
宝塚市在住 南 聰氏 73歳

 赤い三角屋根を目深に被った愛らしい家、その清々しく素直な佇まいは、人が心和やかに飾りなく暮らそうとすれば、こんな形になってしまっただけなんですと控えめに言いたげで。建築家をはじめ作り手達の住まう人との心の交わりが随所に感じられ、その温もりある創意に感心しながら、木の豊かな香りに包まれてのひとときを過ごしました。木組みを露わにした空間は思いのほか広がりを感じさせ、外光をたっぷりと採り入れた室内にいると、人は木々の温もりや陽の光を原初的に求めているんだなとあらためて感じました。吉村先生の言葉に、敷地はゆったりと家は慎ましやかにとあるように、自然の一隅を借りて自らを自然の一部として住まう現代の「方丈の庵」は、今の不動産事情からは、ある意味最高の贅沢ともいえるでしょう。土地という高価な皿に仕方なくレトルトな家を盛り付けて食べざるを得ない現実。その善し悪しはともかく、わたしなら紙皿の盛り付けでもいいから、選りすぐりの食材の滋味を楽しみたいと先生の言葉に思いを巡らせていました。先生の思いを継承するこの家を眺めていると、ややもすると「終の棲家」というネーミングから熟年層が住まいの変遷の最後に辿り着く、住まいの最終形と捉えがちだった間違いに今さらながら気づかされました。人生の終まで住める、そして終まで住まいたい家~まさにHPのフレーズ通り、若い人にこそ「終の棲家」の意味が実感できた次第です。
山本様ご家族にとってはようやく理想の家を巡る長い旅が終わり、これからは終わりのない終の住まい作りを杉板の色が深みを増すようにゆっくりと楽しんで行かれることを願っています、お忙しい中、拝見させていただきありがとうございました。
東大阪市在住 山林正彦氏 59歳


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