日   時 2023.5.27(土)午後1時30分~5時00分頃まで
場   所 大阪府泉佐野市 新井邸
参 加 人 数 24名
テ ー マ 『100年終の棲家-リフォームを愉しむ』



建物玄関
10畳座敷で説明
玄関前で作庭の説明
食堂前庭の説明
シンボルツリーはアメリカンハナミズキ
 この住宅は、大阪市と和歌山市のほぼ中間に位置し古くは熊野詣の街道筋としてにぎわい始め、江戸時代には漁業、廻船業、醸造業、さらに綿織物業等により独自の町人文化を開花させた泉佐野「さの町場」の中にあります。
 以前建物の設計をさせていただいた方を含め、たくさんの方にきていただきました。皆さんにゆっくり見学していただくため、1時半からと3時からとに、二班に分かれていただきました。
 客用玄関から入り、応接間・8畳和室・仏間・寝室・トイレ・洗面・食堂・台所玄関と見ていきます。そして、10畳の座敷でテレビを使いPowerPointで説明をしていきました。改修前の写真と工事中・改修後の写真を見ていただくことで、改修の大変さがわかっていただけたかと思います。
「100年以上前に建てられた入母屋・しころ葺き屋根の平屋建て和風木造住宅です。両親の結婚後の住まいとして、古家を購入・改修し、住み始め、私も生まれてからずっとここで育ちました。この家に対する愛着・思い入れがあります。母が4年前に亡くなった事と道路に下水道が通ったこともあり、「終の棲家」として、あらためて暮らし方を見つめなおし、住まいの改修をすすることにしました。工事期間は6か月、造園工事2週間です。
 母の寝室だった座敷に、ベッドを移動し、寝室だった部屋を食堂にしました。天井を撤去、梁現し、土間風の床と当初のかまどのあった雰囲気の部屋に戻しました。井戸屋形への通路部分を台所にして、台所だったところをトイレと洗面にしました。以前からトイレが外廊下から行くことになっており、家の中にトイレを設けるのが切実な願いでした。浴室はユニットバスに変更、庭を見ながら歯を磨く、トイレとお風呂は暖かく快適になりました。また、庭を眺めながらのゆったりとした食事は、大変美味しく感じられます。前栽のブロック塀も木製の大和塀にやり変え、玄関前・食堂前の庭も、暮らし方研究会会員の江夏庭苑事務所に作庭を依頼して見違えるように生まれ変わりました。」
 玄関前と、食堂前の芝生のベンチで記念撮影です。
 江夏庭苑事務所・江夏大三郎氏に説明いただき、ますます庭づくりに興味がわきました。
 工事をしていただいた工務店さん、お庭をしていただいた江夏さん、それと参加いただいた沢山の方に感謝です。ありがとうございました。
 最後に、津島代表理事から6月末にスタートする《「終の棲家」ご意見募集キャンペーン》の説明がありました。「終の棲家」を真剣に考えておられる方はこの機会に暮し方研究会のホームページの精読をお勧めします。
文/新井律子




 2023年5月27日、見学会としては最高のお天気となりました。この日、私達はいつも大変お世話になっている新井先生のご自宅を見学させていただくことになりました。
 親御さまから受け継いだ家を大切に思いながら、それを「終の棲家」と決め、機能的で快適な生活を送れるように考えてリフォームを決断されたのだと思います。

 束石の上に柱が乗っていましたが、高さを調整し床の水平を作り出しました。築100余年の間取りを、それぞれの部屋の用途を大胆に組み替えながら、新しく快適に暮らしていけるよう工夫されていました。思い出深い襖とか家具とかの調度品を上手に残されて活用されていました。建具の扉とか波のあるガラスの戸とかがとても記憶に残っています。
 以前寝室だったところは、天井をとって梁を出し、石張りの床暖のある食堂となり、そこからは芝生で開放的に見えるお庭を臨めます。丸瓦を散りばめ三和土のアプローチは何とも優しい雰囲気を醸し出してくれ、その向こうにある木々や草花へと視線を誘ってくれます。 一方、玄関前のお庭は、元々からあった植木や石造物を移動させたり少し手を加えて改造されたりして、広々としたお庭へと変身したようです。

 ゆっくりお宅の中とお庭を見学させていただき、リフォームの可能性の豊かさを改めて感じました。新井先生には、個人のお宅にも関わらず、惜しみなく見学の機会を与えてくださりありがとうございました。
宇治市在住 江夏節子氏 60歳代



 南海泉佐野駅から案内図を見ながら少し西に進むと道幅も相当狭い古い町並みになり約5分程で大和塀でしころ葺き屋根の新井様の生家が見えて来ました。想像通りの風格のある立派な建物です。早速案内頂きましたが年数は感じますが文化財級の内部造作、数々の素晴らしい調度品があり ご家族の営みが脈々と受け継がれている家の履歴書たる建物に感動しました。余談ですが、建築家としての新井様の本物、美しい物を見る感性、見識がこの空間で育まれたのでしょう。さて、今回のセミナーのテーマ(100年終の棲家―リフォームを愉しむ)はどのように愉しまれたのでしょうか。そこで勝手ながら私の希望する(終の棲家)とは?
1.自分が納得する"いちばん、いい家"である事
2.いつもいる部屋がある事
3.ガーデンがある事
 今回のリフォームで土間風の食堂を造られていました。タイル床には電気床暖房が敷設され、梁が見える高い天井、そこに大きなダイニングテーブル。北面には大きな吐き出し窓。今回造園された広々とした芝生のガーデンへと一体化する何とも開放的な空間に仕上がってました。緑との触れ合い、四季を感じながら心を穏やかにする"いつもいる部屋"候補です。この空間で一時を過ごすのはなんと優雅で贅沢な事でしょうか。芝生の周りには種々の庭木が植栽され春には開花、夏は輝く緑、秋は紅葉、冬は次の芽吹きが待ち遠しく感じる。未来への期待。来年、5年後10年後の変化が楽しみです。今回のリフォームで水廻りの配置もコンパクトにまとめられ非常に動線が良く使い易くなってました。前栽のブロック塀も大和塀に変えられ一段と建物の風格が上がった様に思いました。築100年の歴史ある建物とリフォームでのモダンな空間の融合がマッチしてとても気持ちの良い使い勝手の良い また、様々な思い出がいっぱい詰まった素晴らしい終の棲家。"いちばん、いい家"と感じました。
藤井寺市在住 辻田庄吾氏 60歳代


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