記念すべき190 回目のセミナーで私たちは明石天文科学館と、暮らし方研究会が建築プロデユースした村上・内田邸を訪れた。私は文系の大学生である。もちろんのこと建築分野には明るくない。しかし、そんな私でも今回のセミナーは学びになることが多かったといえるだろう。まず当日、明石天文科学館にてプラネタリウムの鑑賞を行った。明石に日本の標準時子午線が通っていることは学校で習った通り理解している。天文科学館と謳っているだけにプラネタリウムのみならず、天文に関する歴史や星座の種類が学べたり、展望台から望遠鏡を望めたりと多岐にわたり多くのギミックが施されていた。明石天文科学館のプラネタリウムで使用されている機械は日本で最も古いという。国内最古のプラネタリウム、歳月にすると99 年目にあたるこのプラネタリウムだが、喧騒の中でしか見ることのない星々が、まるで広大な荒野の中でただ一人、宇宙の果てを見つめるかのような感覚に陥らせてくれた。ぜひ一度足を運んでこの感動体験を味わってほしい。
そして、その感動を胸に明石の天文科学館から近くの、打ちっぱなしのコンクリートがまぶしい民家へと足を運んだ。その村上・内田夫妻の立派な地上 2 階、地下 1 階建ての打ちっぱなしの家は 28 年前に、家主の「納得できる家づくりを」の理念のもと暮らし方研究会を訪れ、完成したという。この家は単なる住まいを超えて、まるで芸術作品のような存在感を放っていた。普通の住宅では見られないような、円形の茶の間が調和する自由で自在な庭園、吹き抜けを活かした空間配置、そして心地よさを与える木材で仕上げた床と天井が特徴だ。特に家主の緻密な計画が凝縮された細部のデザインは、その土地の状態や環境に対する深い理解と共に誕生したといえるだろう。私は建築の知識が全くないが、その家は私にも強烈な印象を残した。その美しさと機能性が見事に融合した姿は、ただの住居という枠を超え、生活を豊かに彩る芸術の一部と感じられた。この家が持つ魅力は、単に建物そのものにとどまらず、そこでの暮らし方や住むお二人の豊かな時間をも紡いでいるように思えた。今回のセミナーに参加して私の知らない建築の分野に関して学びが多く得られた。機会があれば、私のように建築素人の方も絶対に参加するべきだと強く推奨したい。 |