建築家からの一言
施主は美容の職人。年代は、いわゆるロストゼネレーション世代(25〜35歳)である。
独立のための美容室の改装工事であるが、ご要望はお客さまに取っての「癒しの空間」、更には「自ら仕事をしていて疲れない空間」と言う意向であった。
事前に提示された、好みだと言う家の写真はなかなか趣のある素敵な空間で「これは手ごわい!」が最初に出会った第一印象であった。
最大の苦労は予算管理。漆喰・無垢材・タイルなど本物の素材をできるだけ多用し、くつろぎの空間を具体化したい。そこで、造付家具はすべて大工工事とし、ドアノブ・プレート・時計などの小物は、工事期間中、施主自らがロンドンに行きアンティーク店で見つけてきたモノ。これも「なかなかのモノ」であった。
こだわりを持った、キラリとセンスが輝く好青年ぶりに驚かされながら、楽しく「お店づくり」が進んだ。施主・工務店・メーカーの全員協力で素敵なビューティ空間に生まれ変った。今回の改装工事を通じて若い職人達の旅立ちに立会えたことに、心より感謝したい。
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