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建築家からの一言 平成28年10月、施主の大西さんご兄弟から「明治時代から引き継いできた屋敷を残すため、様々な手を尽くしてきたが止むを得ず解体することを決断した。そして敷地の一部に主屋の古材を活用して資料館を新築したい…」とのご相談を受けました。ご相談から住宅の調査・解体・造成・建築工事と完成まで約1年半を費やしました。 大西家住宅は豪農の屋敷として資料価値が非常に高いため、まず主屋の資料を残すための調査を京都美術工芸大学工芸学部 井上年和先生にお願いしました。結果、新築された資料館の土間には大西家住宅の主屋の模型が展示されることになりました。また資料館そのものは主屋の5分の1の規模です。 資料館の様式は予てより研究会でシリーズ化していた「日本の民家」のプランをご提案。共感と賛同をいただき資料館としての仕様にアレンジして着工・竣工しました。 何処か懐かしい日本民家の外観と典型的な民家の間取りを踏襲し、解体された主屋の大梁・柱・天井板・建具を活用することと併せて、伝統と歴史を伝えるに相応しい重厚さと安定感が再現されたと自負しています。更に、土間には三和土、壁は弁柄色とし、130年間住人と連れ添った懐かしい主屋の雰囲気を少しでも感じていただけたなら幸いです。 施工をお願いした野原工務店さんには1年間にも及ぶ作業場での古材の管理、そして古材の再活用と大変なご苦労をおかけしました。約7ケ月の工事期間中に丁寧な仕事ぶりを拝見できたこと、素晴らしい職人さん方に出逢えたこと。主屋の解体工事、古材の生け捕り、造成工事、古材を使った工事、などなど大変貴重な体験をさせていただき心に強く残る現場となりました。 |
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