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「アイビー文化を楽しむ」—(4) |
VAN倒産後、益々世間ではアイビー離れの傾向が続き高校の友人あのN君までもその一人となっていた。彼に言わせれば、「いつまでも学生時代のあこがれにしがみついていては進歩がない。もっと大人の感覚を持たなければならない」とのことであった。 アイビーは子供っぽいのか、いやそうではなく上辺だけで奥を知らないのでは、本当のアイビーとはと随分悩みました。しかし逆に私は此の時こそ改めてアイビー路線を徹底しようと心に誓ったのです。 30歳を目の前にして良き理解者(配偶者)を求めながらも相変わらず心ブラ(心斎橋ショッピング)を楽しんでいた。心斎橋BALの1階でラルフ・ローレンのボタン・ダウンシャツに始めて出合った。ウインドゥに飾ってあるものは非売品であったが店長に無理をいって購入した。腕の所にシミがあったにもかかわらず、インポートものという事で15,000円という値段である。日本製は脇の下をテーパーさせているがUSA製はルーズ・フィット、これぞ本物。 翌日即、袖を通し出勤した。ポロのワン・ポイントマークドレスシャツを着ている者は当時誰ひとりもなく優越感に浸りきっていたことを今も鮮明におぼえている(本人が知らないだけで他にも着ていた人が沢山いたかも)。底知れぬ本物アイビーの魅力(ブルックスのシャツに次ぐ)の深さを感じるのであった。 本物の良さとは何か。結婚してからでは、思った物も買えなくなるだろうと青春最後の買いだめにふみきったのである。フローシャムのウィング・チップ、クラークスのデザートブーツ、バーバリーのコート、グロバー・オールのダッフルコート、ウールリッチのマウンティンパーカー、フォックスの傘、オールド・ファッションロック・グラス、アラミスのコスメティクス、KENTのブラシ、ナイキのジョギング・シューズ、ETC。 一方、家では見合い攻め、会社では上司の紹介攻め(有難いことに私のためを思ってくれる人達がたくさんいた)で、いささか疲れていた。 縁とは不思議なもので同じ境遇の女性が身近に現れた。この女性とはショッピングに付き合うことがきっかけでゴールインすることになります(彼女とは6年前に一度だけ野球観戦に誘った思い出がありますが、もののみごとに断られています)。 彼女も見合い疲れしていた(このように書くといいカッコだが、どちらもモテナイということである)ようで不敏な者同士が一緒になったという事にしておきましょう。 こだわりの話を彼女にもっとも理解してほしかったのですが、デート中にはやはり行き違いもありました。インスタントコーヒーは飲めるものではないとか、デザインよりも素材が大事だ、安物はそれなりの物だなどと口論になりました。彼女からすれば生意気に感じたのだろう。 しかし良いものを買って大事に長く扱う。おいしいものを食して自分で作るようにする。「お金も無いのにカッコつけるな」と思うだろうがそうではない。私こそケチなのかもしれません。コーヒー豆を買って自分で点てれば100グラム700円でも15杯ぐらい飲めます。5万円の靴でも20年履いています(修理は2回行ったが)。レインコートも23年着用しています。傘も失わなければ活躍しているはず。1日にしていくらでしょうか。 ただしこれらの事については随分手間のかかることになる。邪魔くさいなどと少しでも思われるお方は論外である。 こだわり必須科目として下記の項目ぐらいは守りたい。 ・アイロンは自分でプレスするように ・靴の手入れは勿論自分で(修理の管理、雨の日の管理) ・帰宅時のスーツのブラッシングと明日の服装計画 ・COFFEEはできるだけ自分で淹れる(豆はミルで挽き、ドリップ式がGOOD) ・酒の燗もできるだけ自分でやる(電子レンジは許せない) ・アンダー・ウエアーのローテーションを守る(ボクサー型トランクスに限る) ・季節はずれの保管衣類の管理 以上のようなことで経済的に力も無いのにいささかうるさい男なのであります。 食生活でも、文句が多かったのだと思います。自分では気がつかないのですが魚の煮付けの醤油の濃さ、お好み焼きの粉の塩加減、もちの焼き方、味噌の使い方、インスタントのだしはダメ、ごはんの炊き具合(やわらかいごはんと前日に炊いたご飯を弁当に入れることはタブー)、チュウブのわさび、カラシはできるだけ使わないように、料理の味が混合しないようにお皿はたくさん使う(ここで洗い物が多くなるとぼやく女性は最低)。食事には2時間弱かける。最初家内も、とまどったのではないだろうか。後かたずけができないのですから…。晩酌しない家庭の夕食は15分以内だそうですがこれもまたつまらないと思いませんか? 文句を言うのではなく料理について語るのが楽しみであり、次回の進歩につながるのです。ゆえに家内は自慢ではないが料理はうまい。たまに行った専門店で気に入った料理は必ず家で挑戦してくれる。 1回や2回で同じ味は出ない、いや3,4回でも出ないだろう。しかしいつのまにか我が家流の味を加味した新メニューとなるのである。食のIVY精神とはこのことである。 最後に一番苦手な子育てについて少しふれておきます。わたしは子供のおむつを替えたことが無い。子供が嫌いではなく、幼児が嫌いなのである。妹に言わせると子育ての「子」も言う権利は無いとののしられています。小学校高学年になった頃に、ようやく父親らしくなってきたと自分でも思いますし、高校進学に際しては私の判断が功を奏し現在があると自負しています。子供たちは特に優秀ではありませんが自主自立ということについて素直に育ってくれたと思います。引き込み症候群ではなく引き込まない症候群であり友達づきあいも多く、日々多忙な毎日を送っているようです。 去年結婚25年迎えました。子供たちもそろそろ独立していきます。 再び我々二人にIVY青春時代がやってきました。 |
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